大地震が来たらワーキングマザーは3日以上子供に会えない。災害時のリスクを知って。

地震、津波、竜巻、突風、豪雨…
近年、日本で頻発する自然災害。
いつ、どこで、何が起こってもおかしくない。そんな気持ちを持って常に備えておかなければいけないと、痛感させられる。
私は3.11の起こったあの日、夫の転勤先だった仙台市内の保育園に子供を預け、出勤をしていた。家の中はぐちゃぐちゃで、しばらくのあいだ近くの体育館で避難生活を送る事となったが、幸い家族はそれぞれの場所でみな無事でいた。
保育園とは5時間以上連絡を取ることができなかった。
あの時間が、恐怖で恐怖で仕方なかった事を今でも忘れる事ができない。
現在は夫の転勤で東京都内に住んでいる。私は仕事を辞めた。希望の場所に子供の保育先を見つける事ができなかったからだ。
あの地震が起きるまで、子供と離れるリスクというのを考えた事がなかったが、子供と離れる以上、私たち親は離れているリスクをしっかりと知っておかなければいけない。
子供と離れるというリスクを改めて知って欲しい。ワーキングマザーは3日以上子供と会えない可能性だってある。
12日早朝、危惧されている東京直下地震、東京湾が震源の地震が起きた。
東京調布では震度5が観測され、都内ではエレベーター内の閉じ込め等、少数ではあるものの被害が出た。
12日の地震は、想定されている直下地震の1000分の1の規模だったそうだが、実際に想定されている規模の直下地震が起これば、3.11よりもはるかに被害が大きくなる。
ワーキングマザーの中には、通勤に電車や地下鉄を利用している人も多いはず。
震度7の地震が起これば92%以上の列車が脱線し、交通網は完全に麻痺する事。
地下鉄内で震災にあった場合、簡単に地上に出る事は難しく、停電し電車の止まった地下鉄は二酸化炭素濃度が上がり、意識障害などが起こる可能性もある事。
3.11の時のように歩いて帰る事が容易ではない事。
しっかりと認識しているだろうか。
ワーキングマザーの中には、高層ビルのひしめく都心で働いているママも多いはず。
ビルが密集している地帯では火災旋風(火が竜巻のように渦を巻く)が起こりやすい事、
そして火災旋風に巻き込まれてしまったら死亡率は95%とまず助からないという事。
オフィスが高層階であれば好走難民になる可能性があるという事。
きちんと認識しているだろうか。
そして、東京都には従業員を帰宅させない旨の条例がある。
罰則があるものではないが、大震災が起こったら、大量の帰宅困難者が道路に殺到し、救助活動にも支障をきたしたり二次被害にあう可能性があるため、従業員を3日間帰さないようにと呼びかけているのだ。
ワーキングマザーは3日以上子供と会えないかもしれないというリスクがあるのである。
私立小学校へ通う子供をすぐにお迎えにはいけない
家にいる専業主婦だから安心というわけではない。
子供を近所の公立小学校ではなく遠方の私立小学校へと通わせている場合、
交通網が麻痺している中、すぐに子供をお迎えに行く事ができないのだ。
リスクを知って子供と離れなければいけない
都内に越してきて、ワーキングマザーの危機管理の薄さには驚いた。
といっても、3.11の震災前は私もそうだったのだが…
「保育園があるから、先生がいるから大丈夫でしょ」「3.11でも歩いて帰れたからまあ大丈夫でしょ」
そんな風に軽く考えている母親たちにたくさん出会った。
保育園や学校、先生たちは最大限力を尽くしてくれるだろうが、保育園も学校も、先生たちも絶対ではないのだ。
過信してはいけないし、もし万が一の事があった時、「離れていたせいで」と悔やむ覚悟もしておく必要があるのかも知れない。
子供と離れるという事を選択する場合には、きちんとそのリスクを知っておくべきなのだ。
義務教育が始まる小学校以前に、職場から遠い保育園へ子供を預けてまで働く必要があるのか。
将来のためとはいえ、小学生から子供を私立へ通わせる必要があるのか。
リスクも込みで考える必要がある。
3.11のように歩いて帰ることはできない。
それだけでもきちんと自覚をしておくべきだ。
働く必要があるならば、どの場所の保育園に入れる事が一番リスクが低いのだろうか。
職場がどの辺りであればリスクが低いのだろうか。
私立小学校も、教育方針や教育水準だけでなく、家からの距離なども考えた方が良いかもしれない。
東京都には、地域危険度マップというものが存在する。
これは地震が起こった際、倒壊や火災など危険度が高い場所が一目でわかるようになっている地図だ。
職場、学校、保育園…
自分や子供に関わる地域が危険度が高いのか低いのか、どういう危険性があるのか、最低でもこれくらいは知っておくべきではないだろうか。
そして、職場や学校、保育園など、子供と離れた際に自分がいる場所や子供がいる場所を今からでも選ぶ事が出来るなら、リスクを考慮して選ぶ必要もあるだろうし、今から選ぶ事ができない場合には、離れていてなお災害時に出来る事が何なのかをしっかり考え想定しておく必要がある。
いつどこで何が起きるか分からない。だから…
私が言いたいのは、決して働くなという事でもなければ保育園に子供を預けるなというわけでもなく、私立小学校に通わせるなという事でもない。
ただ、実際に自分が震災を経験し避難民として生活をし、
周りにはもう二度と会う事ができなくなってしまった家族もいて、
「働いていたせいで」「公立に通わせていれば」そういう家庭があった事を近くで見てきた以上、
離れるリスクを軽視して欲しくはないという事なのだ。
先日は関東・東北で集中的な豪雨があり、あの震災の津波を思わせるような映像を再び見る事となり、その被害の大きさに胸を痛めるばかりだ。
12日には東京湾震源の地震があり、今日は熊本阿蘇山が噴火した。
日本全国、いつどこでどんな自然災害が起こるか分からない。
いつどこで、どんな災害に巻き込まれるか分からないのだ。
だからこそ、最低限、職場、学校、保育園…想定出来る範囲のリスクはもう一度、しっかりと再認識しておこうではないか。
と思うのだ。