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重すぎるランドセル問題。文科省の通知でランドセルの重さは解消されるのか?

ランドセル
子供

年々豊富なデザインが登場しているランドセル。
私の時代は赤と黒が主流で、ピンクのランドセルを背負う子が学年に1人2人いた程度でしたが、今の登下校シーンは実にカラフル。

年長さんになると『何色のランドセルを買った』『どこどこの(ブランド)ランドセルにする』なんてママたちの中でも度々話題に上がりますが、子供達もランドセルを背負うのをとても楽しみにしていて、何色がいい!なんて話をよくするようになります。

ランドセルを選ぶポイントは家庭毎様々だとは思いますが、重さについて考えた事はありますか?

実は今、ランドセルの重さで子供の体に弊害が出ているというのです…

子供の体重の半分の重さもある、子供達のランドセル

数年前、娘の入学に備えてランドセルを見に行った時、ランドセルの重さに、身長は高いけど華奢な長女を思うとなんだか少し心配になったのを覚えています。

2017年11月と2018年2月に東京都内の学童で小学生36人のランドセルとサブバックなどを含む荷物の総重量調査が行われましたが、その結果、平均6.1キロで、もっとも重かったのは小学校1年生の女児で、なんと9.7キロにものぼったそう。学校保険統計によると、小学校1年生に当たる6歳女児の平均体重は21.0キロ。7歳で23.5キロです。
つまり、ランドセルの重さが子供の体重の約半分程の重さにもなっていたということなのです。

大人の私でも、5キロのお米ですら重たいと感じます。
それの約倍の重さの荷物を、子供達は毎日背負って登下校をしているのです。学校が遠ければ、20分30分歩いている子供達もいることだと思います。

海外の研究で、荷物は体重の10%程度が適切だと言われている中、小さな体の子供達が体重の50%近くもの荷物を持ち登下校している事はやはり問題だと思うんです。

『脱ゆとり』の影響?ランドセルの重さの原因は?

教科書はページ増加、大型化

教科書協会によると、いわゆる『ゆとり教育期』の2005年に比べ、『脱ゆとり教育』転換後の2012年の教科書の総ページ数は小学校で34.2%、中学校では学習指導要領の変更前後で34%、高等学校では21%増えていると言います。また、メインの教科書以外にも副教材なども追加されています。
しかも、最近の教科書はカラー化、写真も増えこれまでB5だったものがA4サイズになるなど大型化。紙質向上に合わせて紙の重要も上がっているというのです。

『置き勉禁止』の学校指導

教科書のページの増加や大型化がされていても、学校では置き勉が禁止されていることも少なくありません。
国語や算数など毎日宿題が出る教科なら持ち帰りは致し方ないですが、そうではない教科であっても持ち帰りを指導されている場合もありますよね。
勿論学校によっては専科の教科書は置いてきて構わない学校もあるでしょうが、持ち帰り指導を行う学校は、「毎日机の中の荷物を出して自分の荷物を整理して管理させる」目的があったり、置き勉による教科書の紛失を防ぐ目的、あってはならない事ですが、落書きされるなどいじめの道具に使われてしまう危険を防ぐ目的もあると言います。

ランドセルそのものの重量

今は軽さがウリのランドセルも沢山登場しています。しかし、私の周りでは軽さをウリとしているランドセルの購入率はとても低い。
これは地域柄が顕著に出るかも知れませんが、土地柄かほとんどが土屋鞄や中村鞄などの「ブランドランドセル」を購入しています。そして、人気のラインはやはり本革ランドセル。
『6年間使うものだから良いものを』という親心があるのではないかと思います。
また、教科書が大型化した影響でしょうか、ランドセル自体も大きくなっています。A4プリントをファイリングしたファイルが入るように、と設計されたランドセルが多く、私たち世代のランドセルよりも一回りサイズは大きくなっています。

増える子供の荷物…

週明けは特に子供達の荷物が多いですね。重たいランドセルにたくさんの教科書やノート。それに加えて上履きに体操服、給食当番のエプロンが加わる事も。学期初めや学期終わりはこれにお道具箱や防災頭巾などまでが加わります。
まあ、これは自分たちもそうして来た事ですが、今の子供達はこれにプラスして荷物が増えています。
例えば、夏場は熱中症予防のために水筒を持参させる学校も増えています。共働きが増えた影響で学童に通う子供が増え、習い事のセットや塾のテキストを学校へ持って行かざるを得ない子供達も多くいます。
私たち親世代よりも、今の子供達は荷物が増えているんですよね。

重たいランドセルの弊害

では、実際に重たいランドセルを背負う事で子供達にどのような弊害が生まれているのでしょうか。
ランドセルを背負った時に、子供達の約3割りが体のどこかに痛みを感じており、中でも首周りに痛みを感じる子供が2割を超えている事がベネッセの調査でわかっています。

腰痛や肩こり

成長期の子供達が重たい荷物を背負う事によって、背骨のS字カーブが代わり、腰痛や肩こりを起こしたりする事があると言います。
実際、最近は小学生の肩こりや腰痛は深刻化しています。
これは勿論、スマホの普及やテレビゲーム、勉強時間の増加など様々な要因があるのですが、重たいランドセルを背負っている事もその一つの要因として上げられる事なのです。
重たいランドセルを支えるために、小学校低学年の子供達は少し腰を曲げた前かがみの姿勢で歩いていたり、顎を突き出すような姿勢で歩いている事を多く目にしますが、あのような態勢で歩き続ける事が体に良いわけがないですよね。

心理的ストレス

重たい荷物が子供に与える心理的ストレスも、軽く見るべきではありません。
私たち大人だって、毎日の出勤で重たい荷物を運ぶのは相当なストレス。
最近では通勤バッグを持たずに出勤するサラリーマンも多くいますよね。大人であれば自己判断で家で仕事する分だけ持ち帰る、今夜は家での仕事はないから全部会社に置いて帰ろうなどとする事ができますが、子供達はそういうわけには行きません。先生の指導に従うしかないのです。
心理的ストレスは、登校拒否に繋がる可能性もあります。

重たいランドセルから解放を。ついに文科省が動き出す。

「ランドセルが重たい」の声を受け、文部科学省は宿題に使わない教科書を教室に置いて帰る『置き勉』を認めるよう、全国の学校に求める方針を固めました。
宿題に使わない教材や副教材などを学校に置き勉できるようにしたり、学校で栽培した朝顔などを持ち帰らせる場合は保護者に取りに来てもらったりするなど、各々の学校毎に子供の負担軽減のために臨機応変な対応を求めるという事なので、強制ではありません。

ですから、ご自身のお子さんが通う学校でどのような反映になるのかは分かりませんが、正式に文部科学省からの通達が入る事で、それぞれの学校でも子供のランドセルの重さについて真面目に考えてもらえる事は間違い無いのではないでしょうか。

そもそも小学生もランドセルじゃなくてリュックで登下校できればそれだけで負担が減るんじゃなかろうかと思ったのですけど、小学校って別にランドセルを強制している訳ではないんだそうですね。
知らなかった、というか、学校指定のカバンがない限り「小学校=ランドセルを買う」が当たり前すぎて、強制だとか自由だとか考えた事すらありませんでしたが、言われてみれば入学前にランドセルを買いなさいと通知が来た訳でもなければ「学校にはランドセル以外で来たらいけません」と学校側から言われた覚えもありません。

そう、ランドセルを背負って通学させるというのは、日本の根強いランドセル文化によるものなんですよね。
冒頭でも書いたように、年長になると子も親も頭の中にごく自然にランドセルが浮かび、当たり前にランドセルを購入します。親や祖父母はラン活に励み、入学式の看板の前でランドセルを背負った我が子と写真を撮る事が感動の一コマになるほどランドセル文化が染み付いているのです。

「6年間使えるように良いランドセルを買う」ではなく、教科書やノートが入る子供の体に合ったサイズの軽量リュックを買う。小学生は子供の成長が最も著しい6年間なのですから、リュックは安いものを成長に合わせて買い替える。
これが文化に変わっても良い気がしています。

ランドセル文化にしっかり染まりながら、そっちの方が自然な気がするな、なんて思う今日この頃ですが、何れにせよ子供たちの心身の健康のために、登下校の重量は改善されるといいなと期待しています。

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